2017.12.15 「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク 第26回死刑廃止セミナーに参加しました。

 

 

「遺族として、死刑囚の息子として ~ 僕の父は母を殺した ~」

講師 大山寛人さん

開場 カトリック河原町教会

 

今でも頭に焼き付いて、離れない光景がある・・・・

2000年3月2日未明、広島宇品港。

鳴り止まないサイレン音。

無数に光る赤色灯。

あたり一面に張られた黄色いテープ。

真っ暗な海を照らし出す大きなライト。

青ざめた父さん。

海面を漂う母さん。

そして僕。

すべてはこの日から始まった・・・・・。

 

「死刑を止めよう」宗教者ネットワークが主催された第26回死刑廃止セミナーに、当会も主催団体として加えていただき、参加しました。

今回の講師は、小学6年生の時に、父親が母親を殺害したという事件の被害者遺族であり、かつ、加害者の家族でもある大山寛人さんでした。

講演では、事件当日の出来事、事件後に何も知らずに父親と二人で生活していた二年間の様子、

ある日突然父親が逮捕され、母親を殺害していたことを知ったこと、

その事実を受け入れられず非行に走り、自殺未遂を繰り返したこと、

広島地裁での一審判決で父親が死刑になったこと、

その判決をきっかけに3年半ぶりに父親と面会をし、事件の真相について話を聞いたこと、

控訴審で情状証人として出廷したことなど、

ご自身の過酷な経験を丁寧に、お話ししてくださいました。

大山さんの父親は、2011年6月7日に死刑判決が確定しています。

大山さんは、命を奪った殺人事件では被害者を生き返らせることができない以上償いなどありえない、死刑にしても償いになどならない、ただ一生反省し続けることだけが加害者にできることだとお話になっていました。

そして、被害者遺族の中にも、大山さんと同じように死刑を望まない、死刑に反対という人に大勢あってきたけれど、そう思っても表立っていうことはできない、

だから、どんなに風当りが強くて、非難されることも多いけれども、自分は話をしているのだとおっしゃっていました。

当事者本人でなければ語ることのできない、とても大切なお話を伺うことができました。

閉会にあたり、堀和幸代表からも挨拶をさせていただきました。

 

 

大山さんは、自身のご経験をまとめて出版されています。

死刑廃止と被害者の問題を考えるうえで、とても貴重な本だと思います。

是非、多くの方に読んでいただきたいと思います。

「僕の父は母を殺した」 大山寛人著 2013年 朝日新聞出版刊 

アマゾンで買えます。

 

 

 

 

 

 

 

2017.7.13 死刑執行に対する抗議声明を出しました。

2017年7月13日、大阪拘置所において西川正勝氏に対し、広島拘置所において住田紘一氏に対して、死刑が執行されました。

西川氏は、再審請求中であったにもかかわらず、死刑が執行されました。再審請求中の死刑確定者に対する死刑執行は、1999年12月に敢行されたものを最後に、運用上、17年半もの間、回避され続けてきました。それにもかかわらず、今回、再審請求中であった西川氏に対して死刑が執行されたことは、今後は再審請求にかかわらず死刑執行をするという国の考え方の現れとも見えます。今日まで、様々な再審事件を通じて、確定した死刑判決が誤りであった事例が明らかとなっており、とりわけ再審請求中の死刑執行には問題が多いといえます。西川氏に対する死刑判決も,絶対に誤りがなかったとは誰にも言えません。

また、住田氏は、裁判員裁判により死刑判決を受けた死刑確定者としては、2016年11月11日の執行に続き3例目の死刑執行となったものです。その判断は、いわゆる永山基準を乗り越えて行われたものであり、従来の裁判官のみによる裁判であれば、死刑が選択されたかどうか疑問のある判決でした。しかも、弁護人が行った控訴を本人が取り下げることによって第一審の死刑判決がそのまま確定したという事情もあり、法的に再検討される機会が失われたまま執行されたという点でも問題があります。

殺すなかれと説く国家自身が生命を奪う死刑制度は、この制度を維持する国民に重い責任を期するものです。しかし、人間が行うシステムにおいては間違いを避けることはできず、死刑制度も例外ではありません。生命を奪う責任の重さに耐えうるだけの適正手続きを持ち得ない死刑制度は、刑事司法制度として根本的な欠陥を抱えているといわざるを得ません。

私たちは、刑事司法制度に直接携わる法律実務家の団体として、このような根本的欠陥を持つ死刑制度の存続自体を到底容認することができません。あらゆる事案に対する死刑の執行に反対し、強く抗議します。

声明文はこちらをクリックしてください。

2017.6.27 2017年度定期総会を開催しました。

 定期総会議題 

第1号議案 代表及び副代表選出の件

自薦他薦をはかったところ、引き続き、代表として堀和幸会員、副代表として辻孝司会員を推薦する意見があり、出席者の全員一致により選任された。

 第2号議案 運営委員指名に関する件

堀和幸代表が運営委員として、昨年度運営委員を指名した。

 第3号議案 2016年度決算に関する件

議案書の通り、出席者の全員一致により承認された。

 第4号議案 2017年度予算及び2018年度暫定予算に関する件

議案書の通り、出席者の全員一致により承認された。

 第5号議案 2016年度活動概要及び2017年度活動方針に関する件

議案書の通り、出席者の全員一致により承認された。

 総会議案書はこちら

 

2016.11.14 死刑執行に対して抗議声明を出しました。

 2016年11月11日、福岡拘置所において田尻賢一さんに対して、死刑が執行されました。

第2次安倍政権以降では17人目の死刑執行となります。また、裁判員裁判で言い渡された死刑判決が確定し、執行された人はこれで二人目になります。

裁判員を経験した市民からも、死刑に関する情報公開が不十分なままで死刑の適用について判断させるのは疑問があるとして、情報公開と執行の停止を求める声が上がっていますが、政府はこれを無視して、何らの対応もとっていません。

刑事司法制度に直接携わる法律実務家の団体として当会は、根本的欠陥を持つ死刑制度の存続自体を到底容認できません。

あらゆる事案に対する死刑の執行に反対します。 

死刑執行に強く抗議するとともに、わが国の刑事司法制度が不正義を生み出すことのないよう、死刑制度廃止の実現を目指して引き続き取り組んでいきます。

声明文はこちらをクリックしてください。

 

2016.6.20 総会記念講演会「大阪此花パチンコ店殺人事件 ~絞首刑は残虐な刑罰か?~」を開催しました。

 

2009 年7 月5 日に、大阪市此花区のパチンコ店で発生した放火事件の弁護人を務められた後藤貞人弁護士、正木幸博弁護士を講師にお招きして、絞首刑の問題性とともに、私たち弁護士が、死刑が求刑されるような重大事件にどのように臨むべきかなどを熱く語っていただきました。

この事件では4 人が死亡、19 人が重軽傷を負うという結果が発生しました。2011 年の一審裁判員裁判では、被告人の責任能力とともに、死刑制度の合憲性、特に我が国の執行方法である「絞首刑」が憲法36 条の禁止する残虐な刑罰にあたり違憲であるとして争われました。

絞首刑の合憲性については、土本武司元最高検検事、オーストラリアの法医学者ヴァルテル・ラブル博士が弁護側証人として出廷し、死刑執行の現実や執行による死の科学的解明がなされるなど、これまでに類を見ない弁護活動が展開され、死刑制度をめぐる議論に一石を投じました。

この裁判は、一審で死刑判決が言い渡され、控訴審で維持され、本年2 月に最高裁で上告が棄却され、確定しました。

しかし、この裁判が投げかけた「絞首刑は残虐な刑罰ではないのか?」という疑問、そして審理を通じて明らかとなった絞首刑に関する様々な事実は、死刑制度の廃止を考えるうえでとても重要な意義を有しています。

 

後藤貞人弁護士

 

 

                         現代人文社刊 2011年

             著者 中川智正弁護団、 ヴァルテル・ラブル

       後藤貞人弁護士は、中川智正弁護団のおひとりです。 

 

 

 

 

 

2016.6.20 2016年度定期総会を開催しました。

 定期総会議題 

第1号議案 代表及び副代表選出の件

自薦他薦をはかったところ、引き続き、代表として堀和幸会員、副代表として辻孝司会員を推薦する意見があり、出席者の全員一致により選任された。

 第2号議案 運営委員指名に関する件

堀和幸代表が運営委員として、昨年度運営委員を指名した。

 第3号議案 2015年度決算に関する件

議案書の通り、出席者の全員一致により承認された。

 第4号議案 2016年度予算及び2017年度暫定予算に関する件

議案書の通り、出席者の全員一致により承認された。

 第5号議案 2015年度活動概要及び2016年度活動方針に関する件

議案書の通り、出席者の全員一致により承認された。

 総会議案書はこちら

 

2016.3.30 死刑執行に対して抗議声明を出しました。

 2016年3月25日、福岡拘置所で吉田純子さんに対し、大阪拘置所で蒲田安利さんに対して死刑が執行されました。

岩城法務大臣は、2015年10月に就任した後、12月に2名に対する執行を命じ、そのわずか3か月後に再び死刑を執行しました。

本来、被収容者の更生を目的としている刑事施設において、処遇を担うべき刑務官の手によって、その命を奪うという死刑制度は、それ自体が拭いがたい矛盾をはらんでいます。

処遇の効果により顕著な改悛の情を持つに至った者に対して、なお死刑を執行しなければならないのでしょうか。この二人の裁判に誤判はなかったのでしょうか。

今回の執行により、絶対に回復不可能な不正義が生じてしまった可能性は否定できません。

当会は、刑事司法制度に直接携わる法律実務家の団体として、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、死刑制度の速やかな廃止を求めていきます。

 声明文はこちらをクリックしてください。

 

2015.12.18 死刑執行に対して抗議声明を出しました。

2015年12月18日、東京拘置所で津田寿美年さんに対して、仙台拘置支所において若林一行さんに対して、死刑が執行されました。 

裁判員裁判により死刑判決を受けた死刑確定者として初めての死刑執行となりました。

裁判に関与した裁判員の精神的負担が懸念されていますが、死刑制度が存置され、それを運用しているのは主権者である国民の意思であることからすれば、死刑判決・執行から生じる重い責任は、裁判員の問題ではなく、国民一人一人が負わなければなりません。

そして、我が国の刑事裁判においては、十分に弁護権・防御権が保証されているとはいえず、死刑が適用される裁判であっても特別に慎重な手続きが取られることもありません。

今回、死刑が執行された二人の事件についても、誤判がなかったとは言い切れません。

私たちが、間違って命を奪ったかもしれないのです。

当会は、刑事司法制度に直接携わる法律実務家の団体として、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、命を奪う死刑制度廃止の実現を目指して引き続き取り組んでいきます。 

声明文はこちらをクリックしてください。

 

2015.12.4 シンポジウム「私たちの安心、安全をいろんな視点で考えよう」(京都弁護士会館)に参加しました。

 

死刑制度の廃止について、より多くの市民に知ってもらうため、安保法制問題に取り組む弁護士、消費者問題に取り組む弁護士と共同でシンポジウムを開催しました。

死刑問題、安保問題、消費者問題にはそれぞれ専門的に取り組んでいる弁護士がいて、それぞれの分野に関心を持ってくださる市民の方がおられます。

このシンポでは、これまで関心のなかった分野についても興味を持ってもらおうと、3つの異なる分野の弁護士が共同しました。

当会からは、辻副代表が「死刑廃止を考える~死刑がないと安全は守れない?」と題して講演しました。

講演では、死刑の犯罪抑止力が証明されていないこと、日本で殺人事件がどんどん減っていること、諸外国の中でも殺人事件の発生率が極めて低いこと、殺人事件の多くは家族内の事件であること、殺人事件で死刑判決を受ける被告人は極めて限定的であることなどを統計資料を用いて説明し、もはや日本の安全を守るために死刑は何の意味も有していないことを理解してもらいました。

参加者からは、「殺人事件はそんなに減っていたのか!」と驚きの声が上がりました。  

案内チラシ

 

2015.6.25 死刑執行に対して抗議声明を出しました。

 

2015年6月25日、名古屋拘置所で神田司さんに対して死刑が執行されました。

神田さんは一審で死刑判決が言い渡された後、いったん控訴しましたが、控訴審の国選弁護人が選任されるまでの間に、控訴を取り下げたことで死刑判決が確定していました。

ところが、神田さんと同じく、一審判決で死刑判決を受けた共犯者は、控訴審で無期懲役に減刑され、この無期懲役判決が確定しています。

神田さんについても、もし、控訴を取り下げていなかったなら、控訴審で無期懲役になっていたかもしれず、一審判決が量刑において誤っていた可能性は否定できません。

また、神田さんは、弁護士に相談する機会もないまま、控訴を取り下げてしまいました。手厚い弁護権・防御権の保証がなく、死刑判決に対する必要的上訴制度もないなど、我が国の刑事司法は、死刑という厳粛な刑罰を保持する資格を到底有していません。

当会は、刑事司法制度に直接携わる法律実務家の団体として、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、命を奪う死刑制度廃止の実現を目指して引き続き取り組んでいきます。  

声明文はこちらをクリックしてください。

 

2015.6.15 総会記念講演「イリノイ州における死刑廃止の理由と経緯~米国イリノイ州(シカゴ)調査報告」を開催しました。

アメリカにおける死刑廃止の最前線についてイリノイ州(シカゴ)を訪問調査した堀代表から報告がありました。 

 

アメリカは死刑存置国と言われますが、すでに18州で死刑が廃止されています。

死刑を存置している32州のうち7州は、この10年、死刑を執行していません。

死刑存置州における執行数も年々減少しています。

リノイ州も、2011年に死刑を廃止しています。

イリノイ州での死刑廃止は、相次ぐ雪冤、刑事司法の腐敗、市民運動やマスコミによる批判、知事の英断等、様々な要因が重なったようですが、冤罪とコストが大きな問題であったようです。

イリノイ州の死刑廃止には、当時は同州上院議員であったオバマ大統領、作家のスコットトゥローも関わっており、今回の調査ではスコットトゥローとの面談も実現しました。

 

  【特別ゲスト】

  古川龍樹氏(生命山シュバイツァー寺住職)

  ジョージ・ケイン氏(西コネティカット州立大学准教授)

  木村且哉氏(宗教法人大本、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015.6.15 2015年度定期総会を開催しました。

 

第1号議案 代表及び副代表選出の件

      全員一致で代表に堀和幸会員、副代表に辻孝司会員が選任された。

第2号議案 運営委員指名に関する件

      堀和幸代表により、2014年度運営委員が引き続き、2015年度運営委員に指名された。

第3号議案 2014年度決算に関する件

      議案書とおりの内容で、全員一致で承認された。

第4号議案 2015年度予算及び2016年度暫定予算に関する件

      議案書とおりの内容で、全員一致で承認された。

第5号議案 2014年度活動概要及び2015年度活動方針に関する件

      議案書とおりの内容で、全員一致で承認された。

 議案書はこちら

 

 

2014.8.29 死刑執行に対して抗議声明を出しました。

 

2014年8月29日、仙台拘置支所において小林光弘さんに対して、東京拘置所において高見沢勤さんに対して、それぞれ死刑が執行されました。

6月の執行に続いて、内閣改造直前の駆け込み的な執行です。

刑事司法制度に直接携わる法律実務家の団体として当会は、根本的欠陥を持つ死刑制度の存続自体を到底容認できません。

あらゆる事案に対する死刑の執行に反対します。

死刑執行に強く抗議するとともに、わが国の刑事司法制度が不正義を生み出すことのないよう、死刑制度廃止の実現を目指して引き続き取り組んでいきます。

声明文はこちらをクリックしてください。

  

2014.6.30 死刑執行に対して抗議声明を出しました。

  

2014年6月26日、大阪拘置所において、1人の死刑囚(川崎政則さん)に対して死刑が執行されました。

川崎さんは、一貫して犯行を認めていたとされていますが、その刑事責任能力については争いがあり、責任能力や量刑の点では誤判の可能性のある事案でした。

死刑執行に強く抗議するとともに、私たちの国の刑事司法制度が不正義を生み出すことのないよう、死刑制度廃止の実現を目指して引き続き取り組んでいきます。

声明文はこちらをクリックしてください。

 

2014.6.18 総会記念講演会 「アメリカ 死刑廃止の最前線 ~カリフォルニア視察報告~」    

 

 

 

 

 

 

2012.11.6 カリフォルニア州で死刑廃止の是非を問う住民投票が実施されました。

結果は、廃止に賛成47.3%、廃止に反対52.7%という僅差でした。

カリフォルニア州は米国でももっとも人口の多い州であり、死刑確定囚ももっとも多くいるため、同州で死刑が廃止されれば、米国の死刑廃止への影響が極めて大きいと言われています。

2年後に再び、住民投票が行われると言われており、その結果次第で、米国が一気に死刑廃止国へと進んでいく可能性があります。

また、オクラホマ州で、先日、薬物注射による死刑執行が失敗し、死刑執行の6か月間の停止が命じられました。米国の死刑制度は大きく揺れています。

 

アメリカの死刑廃止の最前線について、3月にカリフォルニアを視察した堀和幸代表から報告がありました。

 詳しい報告内容はこちらから。

 

2014.6.18 2014年度定期総会を開催しました。

 

定期総会議題 1 代表・副代表選出  
            → 堀和幸代表、辻孝司副代表が再任されました。    
          2 運営委員指名
            → 従前の運営委員が再任されました。
          3 2013年度決算
            → 承認されました。
          4 2014年度予算、2015年度暫定予算
            → 予算案のとおりに承認されました。
          5 2013年度活動報告、2014年度活動方針
            → 報告、承認されました。
          6 総会決議「袴田事件再審開始決定及び飯塚事件・名張事件再審請求棄却決定を受けて死刑制度廃止を求める決議」
            → 全員一致で可決されました。   2014年度総会決議はこちらをクリックしてください。

 

2014.3.28 袴田事件再審開始決定に抗告をしないように求めました。

 

袴田事件再審開始決定に対して、抗告しないように静岡地検に要請しました。

1日も早く、袴田巌さんのえん罪を晴らし、死刑確定囚と言う立場から解放するために、抗告することなく、再審を開始させるように静岡地検に要請しました。

 要請内容はこちらから。

 

2014.1.25 伊藤真講演会 「日本国憲法と死刑制度」を開催しました。

 2014年1月25日(土)午後6時~8時

 京都弁護士会館地階大ホール

 

 

 

 

 

 

 司法試験の受験勉強を通じて、多くの若手弁護士に日本国憲法の理念を伝え、絶大な人気を誇る伊藤真弁護士に「日本国憲法と死刑制度」について講演していただきました。

 

 講演では、「すべての人々が個人として尊重されるように、最高法規としての憲法が国家権力を制限し人権保障を図るという立憲主義の理念や、大日本帝国憲法から日本国憲法になって一人ひとりを大切にするという憲法価値の転換が図られた、民主主義社会において多数派による民意を反映した権力行使にも歯止めをかけるのが憲法であるという「日本国憲法」の基本が熱く語られました。

 そして、死刑制度についても、死刑が最大の人権侵害である以上、応報・犯罪抑止という正当な目的があっても、より制限的でない他の手段では目的が達成できないのかが考えられなければならない、誤判の危険をなくせないにもかかわらず死刑判決を下すことは適正な手続きとは言えない、生命を目的達成のための道具としてはならない、憲法9条は人の生命を手段に使わないという個人尊重の理念につながっている、戦争も死刑も人の生命を手段にしていることは共通であり、日本が死刑を廃止すれば死刑を廃止したEU諸国などに対して人道のための戦争、自由のための戦争を止めるべきだと発言できるようになるなどなど、「個人の尊厳」から死刑廃止が理論づけられました。

 目的が正しければ人の生命を奪うことも許されるという考えが、戦争と死刑の根本において共通して存在しています。人の生命を何よりも尊い人権として、最高の価値を置く日本国憲法の理念からすれば、人の生命を手段とする戦争はもちろん、死刑も許されません。

 伊藤弁護士の講演は、改めて死刑制度の矛盾を明らかにしてくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

2013.6.26 2013年度定期総会、1周年記念講演会を開催しました。

 

2013年6月26日(月)午後6時~8時
於:京都弁護士会館地階大ホール

設立から1年、新年度の総会において活動計画や予算を審議し、国に対して「死刑制度の廃止に向けての議論を進めるように求める決議を採択しました。

 決議はこちらです。

 

また、設立1周年を記念して、龍谷大学法科大学院の石塚伸一教授をお招きして、「死刑制度廃止と終身刑~テキサス調査から見えたもの~」と題する講演を行ったいただきました。

アメリカは、日本と同様に、死刑制度が存置されているとされる国ですが、現在では多くの州で死刑制度は廃止されています。

死刑制度が存置されている州でも、実際に刑罰として死刑を積極的に活用している州はさらに限られています。

その中で、テキサス州は、アメリカで最も積極的に死刑を活用している州です。

しかし、そのテキサス州でも、近年、死刑判決、死刑執行数は激減しており、その理由の一つとして新しく導入された終身刑があるのではないかといわれています。

石塚教授らの調査でも、検察官からは、「この危険な被告人が社会に戻ってこないようにするためには死刑しかない」という死刑論告ができなくなったとの話があったそうです。

アメリカでは死刑制度が存置されていますが、その適用には極めて慎重な手続きが取られており、スーパーデュープロセスと呼ばれています。

弁護人の質と量の保証や、情状鑑定、必要的上訴、再審、人身保護請求手続きなど、同じ死刑になる場合でも、日本とは手続きの手厚さが全く違うそうです。

そして、十分な弁護活動が行われたか否かを検証するプロジェクトもあるそうです。

日本でも、戦後、これまでに言い渡されたすべての死刑判決について、本当に十分な弁護活動が行われていたのか、調査すべきです。

 

 

2013.3.30 公開企画 「河野義行氏講演会」を開催しました。

 

013年3月30日午後2時~5時
於:京都弁護士会館地階大ホール

桜満開の京都で、河野義行さん、浅野健一さんをゲストにお招きして、当会初めての公開企画を行いました。 

 

 第1部では松本サリン事件の被害者であり、冤罪被害者でもある河野義行さんによる講演、第2部では河野さんと、同社大学社会学部メディア学科教授の浅野健一さんとによるパネルディスカッションを行いました。

 河野さんは、講演及びパネルディスカッションを通じて、「犯人に対する怒りを継続し、あるいは極刑を望むことは肉体的精神的に大変なことであり、しかも、何の効果も得られない。それよりも、事件の原因を探ることにエネルギーを注ぐ方が重要である(そのため、河野さんは今でも、松本サリン事件に関わった死刑囚との面会を続けておられるとのことでした。)。しかし、犯人が死刑になってしまえば、事件の真相は永久に闇に葬られてしまう。だから、死刑は廃止すべきであると考える。」ということを、とつとつと訴えられました。

 他方、浅野さんは、「死刑を支持する市民の多いのは、マス・メディアが日本の治安がよいこと、殺人が半減していること等の真実を伝えないからである。」ということを、エネルギッシュな口調で訴えられました。

 

 当講演会は、当会が主催した初めての対外的なイベントで、どのくらいの方に来て頂けるか全く予測できなかったのですが、当日は、100人近くの聴衆で地下ホールがほぼ満員となりました。

来場していただいたみなさま、本当にありがとうございました。 

 また、「京都にんじんの会」、「京都・当番弁護士を支える市民の会」、「『死刑をとめよう』宗教者ネットワーク」、「日本キリスト教婦人矯風会京都部会」等、後援していただいた団体の方々からもご挨拶を頂き、市民団体との連携・連帯を深めることもできました。

今回の公開企画については、他にも、陪審制度を復活する会、アムネスティインターナショナル日本、監獄人権センター、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム‘90にも後援していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

このようにして、初めてのイベントは無事成功裏に終わりました。 

今後も、死刑廃止を、多角的な視点から多くの方々に訴えるため、又、市民団体との連携・連帯を深めるため、同様のイベントを開催していく予定ですので、宜しくお願い致します。

参加していただいたみなさんの声(抜粋)

「河野さんの生の体験から生じる迫力のあるお話を聞けて非常におもしろかったし、勉強になった。警察の捜査手法に門がある現状が尚存在していることが残念であった。」

「河野さんの当事者でありながら冷静なお話はいつも心の底から納得し、感動させられます。浅野健一さん、日本のメディアを何とかしてください。このままでは戦前の報道機関に戻ってしまいます。」

「弁護士の人たちが市民とともに実現した集まりだと感じました。貴重な運動だと思います。」

「河野氏の冷静沈着さと、その説得力、迫力の見事さに感銘を受けた」

「死刑は廃止すべき、死刑という殺人を許容する文化を変えるべき」

「マスコミの恐ろしさや警察の強引な聴取に身体が震える思いを感じました。どんな人に対しても赦す大切さを教えていただきました。」

「死刑は絶対反対です。どんな理由があっても国が人の命を奪ってはいけない。でも、あんな酷いことをし、何の反省もないのに『死刑じゃないの?』と思ってしまう自分もいて、矛盾しています。でも、もし裁判員に選ばれたら、やっぱり死刑にはできない。冤罪で死刑になった人がどれだけいるだろうか。おそろしいことです。」

 

2013.2.17 「谷垣新法相、死刑執行をしないで!」要請行動に参加しました。

 2013年2月17日(日) 午前10時30分~12時

 大本みろく殿において、「殺人被害者・死刑執行者慰霊祭」、安田好弘弁護士による基調提言、「死刑執行停止を求める要請文」の決議を行われました。集会終了後は福知山に移動し、代表者5名が谷垣法務大臣事務所へ死刑執行停止要請文を提出し、ビラ配布を行いました。

 死刑廃止を求める京都にんじんの会が中心となり、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークとともに、当会も共催しました。

 

2013.2.20 講演会「弁護活動から見える死刑制度の矛盾」のご報告

 

堀和幸代表が、弁護人を務めた強盗殺人事件の死刑確定囚について話をしました。

日時 2013年2月20日 午後6時~
場所 京都弁護士会館

 

Mさんは、強盗殺人で二人を殺害していました。逮捕当初から裁判を通じて、死刑になるためにやったと主張し、一切の弁護活動を拒否していました。

弁護人としては、強盗殺人ではなく殺人と窃盗にしかならないと弁護していましたが、結果は、強盗殺人で死刑判決が言い渡されました。

控訴も、本人が取り下げてしまい、一審の死刑判決がそのまま確定してしまいました。

それから約一年が経ち、Mさんから面会要請がありました。

Mさんは、裁判は間違っていた、死刑になることはなかった、弁護活動が悪かった、助命のために支援しろと主張していました。

一見すると身勝手なMさんの言い分ですが、それまで死刑になりたいとしか言っていなかったことからすれば、生への執着がうまれ、死刑判決にもがくようになっていた様子がうかがわれました。

Mさんは変化していました。

さらに時間を重ねれば、自分への生の執着から、さらに、被害者の命のことを考えるようになったかもしれません。

しかし、Mさんは、2012年8月.3日に、刑が執行されました。

執行を知り、執行の場面が目に浮かんだそうです。

そして、人が人を殺してはならないのと同様に、国家は人を殺してはならない、「死」で何かを解決しようというのは文明社会ではない、「死」を解決手段としてはいけないと感じたそうです。 

 

2012.10.24 天台宗人権啓発公開講座2012「死刑制度廃止をめざして」のご報告

 

堀和幸代表が「弁護士会の死刑に対する取り組み」について講演しました。

 

 

 

 

 

 

 

天台宗人権啓発公開講座 第17回死刑廃止セミナー
 日時 2012年10月24日(水) 午後2時~4時30分
 場所 天台宗務庁 大会議室 (滋賀県大津市坂本)

   

 

 

 

 

 

講演では、弁護士は人権擁護を使命としているが、組織的に死刑問題に取り組み始めたのは10年程前からのことでしかないこと、日弁連で2002年に「死刑問題に対する提言」、2004年に「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」、2008年に「国際人権自由権規約委員会総括所見に対する会長声明」、そして、2011年に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての社会的議論を呼びかける宣言」が決議されたこと、その決議を受けて、死刑廃止検討委員会が組織されたことなどが説明されました。

 京都弁護士会でも、死刑執行に対して抗議する会長声明が出されたり、市民に対して死刑問題を訴えるイベントが開催されていることが紹介されました。2012年3月の総会では否決はされたものの、死刑廃止に関して3時間に及ぶ活発な議論がなされたことも報告されました。

 2012年6月に実施された死刑廃止に関する韓国調査についても触れられ、韓国で14年間にわたって死刑が執行されていないこと、死刑の執行がされない背景に政治のリーダーシップや宗教の影響があることが説明されました。

 来場者からも、裁判員制度で市民が死刑判断に関わることや多数決で死刑を決めてしまえることの問題が指摘されました。
 堀代表からは、死刑制度がどのような刑罰であるのかを知らなければ本来は死刑を適用するかどうかを判断できないはず。それなのに、市民に十分な情報が与えないままに死刑を判断させていることは問題である。裁判員制度の前提として、死刑に関するあらゆる情報を明らかにすべきであると訴えられました。

 また、来場者からは、死刑廃止の最大の根拠は冤罪であると考えるが、それであれば冤罪を無くすことをまず考えるべきではないかとの鋭い指摘もありました。
 堀代表からは、冤罪をなくすための努力は最大限しなければならないことはもちろんである。
しかし、それでも、裁判は人間がするものである以上、絶対に間違いのない裁判というのはあり得ない。
 現行犯などで真犯人であること、どんな行為をしたのかということに争いがない事件であっても、責任能 力や犯行動機、生い立ち、生育環境、受けてきた教育など、死刑判断をするために必要な様々な事実において間違った判断がされてしまうおそれがある。その結果として間違った死刑判決が生まれてしまう可能性はなくならないのであり、やはり死刑は廃止するしかないと説明されました。

 来場者からの要望に応えて、堀代表は、自身が弁護人を務めた事件で死刑判決を受けた方(2012年8月に執行)とのエピソードも話され、自暴自棄で死刑になりたいと控訴を取り下げた元死刑囚に生への執着が生まれたことを取り上げ、人は変わっていくことを訴えられました。堀代表は49日の法要にも参加されたそうです。

 最後に、堀代表から、人権擁護に取り組む弁護士、弁護士会として死刑廃止のために全力で取り組むこと、宗教界からも弁護士を叱咤して欲しいと訴えられて、盛況のうちに終演しました。

 今後も、当会では、こうした宗教団体、人権擁護に取り組む諸団体、政治家のみなさんと連携して、死刑廃止のために活動していきたいと思っています。

 講演会のレジュメをこちらからダウンロードできます。 

 

       

2012年度活動方針

 

1 死刑制度についての調査・研究活動

2 代替刑等,死刑制度の廃止を支える他の制度についての調査・研究活動

3 死刑制度に関するシンポジウム,勉強会の開催などの情報提供及び広報活動

4 対国会議員要請等のロビー活動

5 死刑に関わる事件についてのケース研究や研修等による弁護士としての活動の支援

具体的な活動内容は、今後、運営委員会で企画していきます。

 

2012.5.23 結成総会のご報告

 

日 時 2012年5月23日午後6時~8時

場 所 京都弁護士会館 地階ホール

議事内容
   第1号議案 「京都から死刑制度廃止をめざす弁護士の会 綱領」採択の件  
               全員一致で可決
   第2号議案 「京都から死刑制度廃止をめざす弁護士の会 規約」採択の件  
               一部字句修正の上、全員一致で可決
   第3号議案 代表及び副代表選出の件    
               代表 堀和幸、副代表 辻孝司を全員一致で選出   
   第4号議案 運営委員氏名の件        
               あらかじめ申し出のあった15名を代表が指名
   第5号議案 2012年度予算に関する件      
               原案とおり全員一致で承認
   第6号議案 2012年度活動方針
               一部修正の上、全員一致で承認

  議事終了後、会員3名と代表から、死刑制度廃止に関するスピーチが行われました。